Ubuntu 26.04 LTS は 2026 年 4 月 23 日 に公開され、コードネームは Resolute Raccoon です。今回は新しい長期サポート版で、標準サポートは 2031 年 4 月 まで続きます。Ubuntu Pro を使う場合は、セキュリティメンテナンスを 10 年 まで延長できます。
Ubuntu 24.04 LTS からアップグレードする場合、この版は単なる定例更新ではありません。24.10、25.04、25.10 の主な変化もまとめて取り込んでいます。なので、この記事は「アップグレード前に何を見ておくべきか」を素早く把握するための要約として読むのがいちばん向いています。
今回のリリースで特に重要な更新だけを先に押さえるなら、まず次の 4 点です。
GNOME 50が LTS に入り、デスクトップ体験と表示まわりのサポートが一段進みましたLinux kernel 7.0が新しい基準になり、ハードウェア対応と今後の保守基盤が更新されました- Ubuntu Desktop は正式に全面
Waylandへ移行しました - 既定アプリ群がまとめて更新され、
Firefox、LibreOffice、Thunderbird、GIMPが大きく新しくなりました
1. まずは重要な更新を確認
Ubuntu 26.04 LTSは長期サポート版で、標準サポートは2031-04までです- デスクトップ環境は
GNOME 50に更新されました - 汎用カーネルは
Linux kernel 7.0に更新されました - Ubuntu Desktop のセッションは
Waylandのみになりました - 古いバージョンから
26.04へ大きく飛び越して直接アップグレードすることはできません
まだ Ubuntu 22.04 LTS または 25.04 を使っている場合、公式にはまず Ubuntu 24.04 LTS か 25.10 へ上げてから、さらに 26.04 LTS へ進むことが推奨されています。
2. 最大の変化その 1:GNOME 50 が LTS に入った
今回のデスクトップ側で最もわかりやすい変化は、GNOME 50 がついに LTS に入ったことです。一般ユーザーにとって価値があるのは、単発の目立つ新機能というより、デスクトップ全体の使い勝手がまとめて良くなった点です。
- 小型画面や狭いウィンドウでの使いやすさが向上
- 通知をアプリ単位でグループ化可能
- HDR、VRR、分数スケーリングなど表示関連の改善が継続
- リモートデスクトップ、Wayland、NVIDIA ドライバ環境での滑らかさと安定性が向上
- アクセシビリティ対応がさらに強化され、
Orcaスクリーンリーダーも目立つ更新が入っています
Ubuntu 独自の実用的な改善もあります。
- GNOME Shell のグローバル検索から利用可能な
snapアプリを直接探せる - 検索からそのままウェブ検索を始められる
Yaruテーマは upstream GNOME の見た目にさらに近づいたsnapアプリの権限、ファイルアクセス、ドラッグアンドドロップの体験がより自然になった
普段デスクトップ版を使っているなら、この世代の LTS のポイントは「見た目が大きく変わった」ことではなく、以前からあった細かな引っかかりがまとめて減ったことにあります。
3. 最大の変化その 2:既定アプリが広く刷新された
24.04 LTS と比べると、26.04 LTS に含まれる標準アプリはかなり大きく更新されています。
Firefoxは150へLibreOfficeは24.2から25.8へThunderbirdは140へGIMPは2.10から3.2へ
さらに、日常利用で影響の大きい置き換えもあります。
- PDF ビューアは
EvinceからPapersに変更 - 画像ビューアは
Loupeに変更 - ターミナルは
Ptyxisに変更 - システムモニターは
Resourcesに変更 - 既定の動画プレーヤーは
Showtimeに変更
こうした変化から見える方向性は明確です。Ubuntu は GTK4、libadwaita、そして一部では Rust で再実装された新世代の GNOME アプリ群へ、より本格的に寄せています。
4. 最大の変化その 3:Wayland が唯一のデスクトップセッションになった
これは長く Ubuntu を使ってきた人ほど気になる変更です。
25.10 から始まっていた流れが、26.04 LTS で正式に定着しました。Ubuntu Desktop は Wayland バックエンドのみで動作し、GNOME Shell はもはや X.org セッションとしては動きません。
もちろん、これで古いアプリが全部使えなくなるわけではありません。公式リリースノートでも、X.org 向けアプリは XWayland 互換レイヤー経由で引き続き動かせると明記されています。ただし、古い GPU ドライバや一部のリモートデスクトップ手法、録画ツール、入力メソッドの細かな挙動に依存しているワークフローなら、アップグレード前の確認はやっておいたほうが安心です。
5. 最大の変化その 4:Linux kernel 7.0 と低層スタックもまとめて更新
Ubuntu 26.04 LTS の GA generic スタックは Linux 6.8 から Linux 7.0 に上がり、HWE スタックも 7.0 に統一されました。
公式が触れている低層側の変更の中で、一般ユーザーや運用担当に関係が大きいのは次のあたりです。
- デスクトップ版とサーバー版の両方で crash dump が既定で有効
sched_extにより、開発者が eBPF を使ってスケジューリングポリシーを実装できる新しい拡張モデルが入ったlinux-lowlatencyバイナリパッケージは廃止され、linux-genericとユーザー空間のlowlatency-kernelパッケージによる低レイテンシ調整へ移行amd64v3アーキテクチャ変種は利用可能だが、既定では opt-in のまま
比較的新しいマシンを使っているなら、amd64v3 は気にしておいてよい項目です。公式が示している有効化方法は次のとおりです。
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ただし、これは自動では有効になりません。Ubuntu は引き続き互換性を最優先にしています。
6. ハードウェア要件と導入の目安
Ubuntu Desktop 26.04 LTS に対して公式が示している推奨ラインは次のとおりです。
2 GHzのデュアルコア CPU 以上6 GB RAM以上25 GB以上の空きストレージ
マシンの性能がやや低めなら、公式には Xubuntu や Lubuntu のようなフレーバーも検討するよう案内されています。
サーバー版の下限はもっと低く、ドキュメントでは 1.5 GB RAM と 4 GB ストレージから始められるとされていますが、実際には動かすサービスの負荷次第です。
7. どんな人に優先してアップグレード向きか
すでに 24.04 LTS を使っていて、次のようなものを求めているなら、26.04 LTS はかなり有力です。
- 小さなパッチではなく、一世代分まとめて更新されたデスクトップスタック
- より成熟した
Waylandと表示サポート - 新しくなった既定アプリ群
- 新しいカーネルと、より長い今後のサポート期間
一方で、古い X11 ワークフローや特殊なドライバ、独自のデスクトップ拡張に強く依存している場合、あるいは本番環境で変更に非常に慎重である場合は、アップグレード前に互換性確認を一度通しておくのが無難です。
8. ひとことでまとめると
Ubuntu 26.04 LTS の価値は、目立つ単独機能ひとつにあるわけではありません。ここ 2 年のデスクトップ、カーネル、アプリ、互換性の進化を、新しい LTS の基準に一気にまとめて載せたところにあります。
最短で言うなら、この版は「全体として新しくなり、全体として安定した」Ubuntu LTS であり、ひとつの派手な売りだけで成り立っている版ではない、ということです。
関連リンク
- 公式リリースノート:
https://documentation.ubuntu.com/release-notes/26.04/ - LTS ユーザー向け要約:
https://documentation.ubuntu.com/release-notes/26.04/summary-for-lts-users/